「マタギ」とは、一般的な猟師やハンターと違い、独自の文化を持った猟師のことをさします。猟の方法だけではなく、山岳信仰とも重なる儀式や狩の際は山言葉と言われる独特の言葉を使います。
そんなマタギ文化をうけつぐ住安正信さんに大白川での狩猟について聞かせていただきました。
冬は狩りのシーズン
日本でも有数の豪雪地帯である魚沼市大白川。雪に覆われる冬に狩りのシーズンを迎えます。
雪深く、鹿やイノシシがいないこの地域での獲物はうさぎ。雪の中に潜むうさぎを見つけるのは至難の技で、うさぎ狩りの難しさは何より獲物を発見することだそうです。
うさぎは天敵のキツネやテンから身を隠すため、雪の上を行ったり来たりした後にジャンプ!このようなカモフラージュ術を「てんくらがえし」と言います。これがあると近くにうさぎが潜んでます。
熊狩りの始まる春
長い冬が終わりを告げ山菜なども芽吹く季節、熊たちも冬眠から目覚めます。
マタギの文化が色濃く感じることのできるのが熊狩り。熊狩りは山に入る前から始まります。
マタギの信仰する十二様と呼ばれる山の神様は醜女であるとされており、より醜いオコゼのミイラをお供えし神様に喜んでいただくそうです。このオコゼは200年以上前から代々熊狩りの親分に受け継がれているものだそうです。
オコゼと同じくマタギの間に伝わる風習である絵馬。絵馬と言うと神社でお願いことを書く絵馬を連想すると思いますが、少し性質が違っています。各家に伝わる馬の絵柄の木版で、熊狩りが始まる前に各家でこれを和紙に刷り、神社に一旦奉納します。その絵馬を後日神社より持ち帰り、熊狩りで山に入る際に山の入り口に棒を立て、それに各人絵馬をくくりつけ祈りを捧げて入山するそうです。入山の際に忘れてはならないのがアイゼン。残雪の中の狩りになるので、雪で滑らないようにアイゼンは必須アイテムだそうです。
その昔は熊狩りが成功すると、鐘を鳴らして村の人みんなで喜んだそうです。熊は肉はもちろん、有名な熊胆などの内臓、そしてその場で血抜きした血液まで討ち取った熊の腸に入れて持ち帰りいただきます。
森の恵みをいただく
雪解けと共に山菜の季節がおとずれます。正信さんは、山菜やきのこの採取もしておられるので、一年を通して森の恵みをいただいて生活しているそうです。「才七」では、うさぎや熊、山菜やきのこなどの季節の食材はもちろん、この地域に伝わる郷土料理の岩魚ずしや身欠きニシンを使った料理などを食べることができます。もし気になる食材のある方は、ご予約の際にお問い合わせください。
才七 さいしち
電話番号: 025-796-2540
住所: 新潟県魚沼市大白川356-2
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